
【ピタットハウス前橋店 不動産レポート Vol.02】基準地価は全国で5年連続上昇|前橋・高崎で進む「不動産の二極化」を考える
はじめに
本記事は、2026年9月15日に公表された都道府県地価調査などの公開情報をもとに、ピタットハウス前橋店ワンライフの石井が、不動産実務の現場から感じていることをまとめたものです。
以下の内容は、あくまでも現時点における石井個人の見解であり、将来の地価、金利、不動産価格、市場動向などを予測または保証するものではありません。また、特定の不動産の購入・売却・投資を推奨するものでもありません。不動産の価格や判断は、物件ごとの条件や個別事情によって異なりますので、一つの参考情報としてお読みください。
前回は「長期金利3%」について考えました
前回の「ピタットハウス前橋店 不動産レポート Vol.01」では、長期金利が3%を超える局面を踏まえ、これからの収益不動産市場にどのような変化が起こるのか、3つの仮説として考えました。
今回のVol.02では、2026年9月15日に公表された「基準地価」をもとに、全国、群馬県、そして前橋市・高崎市の地価動向を見ながら、金利上昇や建築費高騰が不動産市場に与える影響について考えてみます。
今回、私が特に注目したのは、地価が上昇しているというニュースそのものではありません。
その内側で、人気が集まる地域と、そうでない地域との差が少しずつ広がっていることです。
そもそも「基準地価」とは?
基準地価とは、国土利用計画法に基づき、各都道府県が毎年7月1日時点における基準地の1平方メートル当たりの価格を調査し、公表するものです。
毎年1月1日時点の価格を国が調査する「地価公示」と相互に補完しながら、土地取引や不動産評価の目安として利用されています。
ただし、基準地価は、その地域にあるすべての土地の売買価格を示すものではありません。
実際の不動産価格は、接道状況、土地の形、面積、用途地域、周辺環境、上下水道、災害リスク、建物の状態、売却時期などによって大きく異なります。
そのため、基準地価は不動産の「値札」というより、地域の価格がどちらへ向かっているのかを確認するための「羅針盤」と捉えるのが適切だと思います。
全国の基準地価は5年連続で上昇
国土交通省が公表した2026年の都道府県地価調査によると、全国平均は次のようになりました。
| 用途 | 2026年の変動率 | 動向 |
|---|---|---|
| 全用途平均 | +1.5% | 5年連続上昇 |
| 住宅地 | +1.0% | 5年連続上昇 |
| 商業地 | +2.9% | 5年連続上昇・上昇幅拡大 |
全用途平均、住宅地、商業地のいずれも5年連続の上昇です。
特に商業地は前年より上昇幅が拡大しました。主要都市における店舗、ホテル、オフィス需要や、観光地への投資などが地価を押し上げていると考えられます。
全国的には地価の上昇基調が続いていますが、地域や用途によって状況は異なります。
「全国平均が上昇したから、すべての不動産価格が上がった」ということではありません。
群馬県は34年ぶりに上昇へ転換
群馬県の全用途平均は、前年比0.2%の上昇となりました。
群馬県によると、全用途平均が上昇に転じたのは、1993年に下落へ転じて以来、34年ぶりです。
| 用途 | 2026年の変動率 | 見方 |
|---|---|---|
| 全用途平均 | +0.2% | 34年ぶりに上昇へ転換 |
| 住宅地 | ▲0.2% | 下落幅は縮小 |
| 商業地 | +0.9% | 上昇幅が拡大 |
| 工業地 | +2.8% | 企業需要などを背景に上昇 |
群馬県全体としては上昇に転じましたが、住宅地は現在もわずかながら下落しています。一方で、商業地と工業地の上昇が県全体を押し上げています。
この結果からも、「群馬県の不動産が一律に上がっているわけではない」ということが分かります。
前橋市と高崎市の状況
| 地域 | 住宅地 | 商業地 |
|---|---|---|
| 前橋市 | 0.0% | +0.5% |
| 高崎市 | +0.7% | +1.9% |
高崎市は、住宅地・商業地ともに上昇しています。駅周辺や生活利便性の高い地域への需要に加え、中心部の価格上昇を受け、住宅需要が周辺地域へ広がっていることも一つの要因と考えられます。
前橋市では、住宅地全体は横ばいですが、商業地は上昇を続けています。
地点別では、次のような上昇が確認されています。
前橋市内の住宅地の一例
- 南町二丁目の一部地点:1.5%上昇
- 六供町三丁目の一部地点:1.2%上昇
- 大友町二丁目の一部地点:1.1%上昇
前橋市内の商業地の一例
- 表町二丁目の一部地点:1.6%上昇
- 天川原町一丁目の一部地点:1.5%上昇
ただし、これらはあくまでも個別の基準地点における変動率です。その町全体や、周辺にあるすべての不動産が同じ割合で上昇したことを意味するものではありません。
群馬県内でも進んでいる「地価の二極化」
今回の地価調査で、群馬県内の住宅地は次のような結果となっています。
県全体では地価が上昇へ転じた一方で、住宅地では現在も下落地点が上昇地点を上回っています。
商業地は次のとおりです。
- 上昇した地点:56地点
- 横ばいの地点:13地点
- 下落した地点:24地点
商業地では上昇地点が増えていますが、すべての商業地が上がっているわけではありません。
石井の見方
今回の結果は、「群馬県の不動産価格が全体的に上がり始めた」というよりも、選ばれる地域と、そうでない地域との差が、これまで以上にはっきりしてきたことを示しているように感じます。
生活利便性、交通アクセス、周辺の商業施設、教育環境、災害リスク、将来のまちづくりなど、購入者や事業者にとって具体的な魅力がある地域には需要が集まります。
一方で、人口減少や高齢化が進み、空き家や空き地が増えている地域では、土地を所有しているだけで価値を維持することが難しくなる可能性があります。
これは市町村間だけの問題ではありません。同じ前橋市内、同じ町内であっても、道路一本、用途地域、接道状況、土地の形、災害リスクなどによって、不動産の売りやすさや価格に差が生まれます。
今後は「前橋市だから」「高崎市だから」という大きな単位だけではなく、さらに細かな地域と物件ごとの選別が進むのではないかと考えています。
金利上昇は購入可能額に影響する
前回のVol.01でも触れましたが、住宅ローン金利や事業用融資の金利上昇は、不動産市場にとって重要な要素です。
金利が上がれば、同じ年収、同じ月々の返済額であっても、借りられる金額は少なくなります。
一例として、35年返済で月々10万円を返済する場合、金利0.8%では借入額が約3,660万円ですが、金利1.3%では約3,370万円となります。単純計算では、約290万円の差が生じます。
※上記は元利均等返済による単純な試算です。実際の借入可能額や返済額は、金融機関、返済方法、審査金利、年収、年齢、既存借入、諸費用などによって異なります。
金利が上がると、購入希望者には次のような変化が生まれます。
- 土地価格を抑えて建物予算を確保する
- 希望する地域を少し広げる
- 新築から中古住宅へ切り替える
- 購入する建物の広さや仕様を見直す
- 住宅ローンの事前審査を早めに行う
ただし、今回の群馬県の分析では、住宅ローン金利は上昇傾向にあるものの、住宅需要は依然として底堅く推移しているとされています。
現時点では、金利上昇によって市場全体が急激に冷え込んでいるというよりも、購入者が価格や物件をより慎重に選ぶようになっている段階ではないかと考えています。
建築費高騰が土地選びを変えている
建築費の高騰も、不動産市場に大きな影響を与えています。
住宅を新築する場合、購入者が考えるのは土地価格だけではありません。
土地代に加えて、建物本体、外構、造成、地盤改良、上下水道、解体、登記、住宅ローンなどを含めた総額で判断します。
建物価格や工事費が上がれば、その分だけ土地にかけられる予算は少なくなります。
そのため、中心部の高額な土地を避け、少し周辺の土地を探す動きが出てきます。群馬県も、高崎市や太田市では、中心部の過熱した地価を避ける動きから需要が外延部へ広がり、地価上昇の範囲も拡大していると分析しています。
建築費高騰は、すべての土地価格を一律に下げるものではありません。
むしろ、比較的手頃で生活しやすい周辺地域や、建物をそのまま利用できる中古住宅、適切にリフォームされた住宅への需要を高める可能性があります。
一方で、土地価格が安くても、古家の解体、造成、擁壁、上下水道の引き込み、接道の改善などに多額の費用がかかる不動産は、購入者から敬遠されやすくなります。
土地の坪単価だけでなく、「利用できる状態にするまでに総額でいくらかかるのか」が、これまで以上に重要になっています。
商業地が上昇していても慎重な判断が必要
前橋市や高崎市では、商業地が上昇しています。
再開発や民間企業による整備が進み、地域の発展に対する期待が高まっていることが背景にあるとされています。
ただし、金利上昇は商業地や収益不動産にも影響します。
借入金利が上がれば、賃料収入が変わらなくても、投資家や事業者が購入できる価格は下がる可能性があります。また、建築費が上昇すれば、新築アパート、店舗、事務所などの事業採算も厳しくなります。
その一方で、空室リスクが低く、賃料を維持しやすい地域や、既存の建物を有効活用できる物件には需要が集まりやすくなります。
商業地の上昇も、「どの商業地でも上がる」という意味ではありません。
その土地や建物が、将来どのように利用され、どれだけの収益を生み出せるのか。今後は、立地だけでなく、不動産の収益性や活用可能性が、より厳しく見られるようになると思います。
石井の見解――価格上昇よりも「選別の進行」に注目
今回の基準地価について、私は地価上昇そのものよりも、不動産の選別が進んでいることに注目しています。
金利が上がれば、購入者の借入可能額は減少します。建築費が上がれば、土地にかけられる予算も少なくなります。
人口減少や空き家の増加が続けば、需要が弱い地域の不動産は、売却や活用がさらに難しくなる可能性があります。
一方で、生活利便性が高い地域、将来の発展が期待される地域、価格と利用価値のバランスがよい不動産には、引き続き需要が集まると考えられます。
金利上昇や建築費高騰は、不動産市場全体を一律に下げるというよりも、「選ばれる不動産」と「選ばれにくい不動産」の差を、さらに広げていく可能性があると考えています。
これからの不動産査定では、市全体の平均値だけを見るのではなく、次のような要素を総合的に確認する必要があります。
- 実際の成約事例
- 現在販売されている競合物件
- 購入希望者からの反響
- 建築費、解体費、造成費
- 住宅ローン金利
- 災害リスク
- 将来の維持管理負担
- 売却以外の活用可能性
基準地価を、これからの判断にどう生かすか
基準地価は、売却価格をそのまま決めるものではありません。
しかし、地域の需要がどこに集まり、どこで弱くなっているのかを考えるための重要な材料です。
売却を検討している方にとっては、価格だけでなく、売却までにかかる期間や今後の維持管理費まで考える必要があります。
購入を検討している方にとっては、現在の価格だけでなく、住宅ローン、建築費、修繕費、将来の売却可能性まで含めた判断が重要です。
また、相続不動産や空き家については、「相続してから考える」のではなく、所有者が元気なうちに、次のような整理をしておくことが大切です。
- 将来も残す不動産
- 売却を検討する不動産
- 賃貸などで活用する不動産
- 管理方法を決める不動産
不動産の平均価格より、目の前の一件を大切に
群馬県の全用途平均は、34年ぶりに上昇へ転じました。これは、群馬県の不動産市場にとって明るい材料の一つです。
しかし、その一方で、住宅地では下落している地点も多く、地域間だけでなく、同じ市内、同じ町内でも不動産の価値に差が生まれています。
私たち不動産会社に求められるのは、「地価が上がった」「下がった」と伝えることだけではありません。
その変化が、お客様の売却、購入、相続、賃貸、資産活用にどのような影響を与えるのかを、できる限り分かりやすく説明することだと思います。
そして、公的な地価データだけでなく、実際の成約事例やお問い合わせ状況、物件ごとの条件を確認し、お客様にとって無理のない選択肢を一緒に考えていくことが、地域の不動産会社としての役割だと考えています。
前橋市・高崎市の不動産についてご相談ください
ピタットハウス前橋店では、売却査定、賃料査定、売るか貸すかを比較するW査定、直接買取、買取保証付仲介、相続不動産、空き家・空き地の管理や活用についてご相談を承っています。
「今売却した方がよいのか」「しばらく所有した方がよいのか」「売るか貸すか迷っている」といった段階でも、お気軽にご相談ください。
本記事についての注意事項
本記事は、公表日時点の資料をもとにした一般的な情報と、ピタットハウス前橋店ワンライフの石井による一つの見方をまとめたものです。将来の地価、金利、不動産価格、市場動向、売却結果、投資成果などを保証するものではありません。
個別の不動産については、立地、権利関係、法令上の制限、建物状態、市場環境、お客様のご事情などによって判断が異なります。実際の売却・購入・投資・相続・活用にあたっては、必要に応じて金融機関、税理士、司法書士、弁護士などの専門家にもご相談ください。
参考資料
ピタットハウス前橋店
運営:株式会社ワンライフ
担当:石井

